らんぷの仕業

s’il vous plait  よろしくお願いします。

牧美也子「化粧坂」(けわいざか)

化粧坂牧美也子

 

琴を嗜んでいらっしゃるブロ友さんに「琴が登場する漫画」として紹介したのですが、何しろ50年も前の作品なので、普通の書店には置いてないだろうし、この漫画を入手するのは難しいだろうから、私の持っている文庫本サイズですが、牧美也子さんの「化粧坂」を紹介します。

この作品は1973~1974年の「女性自身」に「星座の女」シリーズとして連載された1編です。当時、星占いが世間に広まりつつあって美川憲一が「さそり座の女」をヒットさせたのもこの頃でした。

私にとって牧美也子は雑誌「りぼん」で「マキの口笛」を描いていた漫画家、その絵をいつも真似して描いていた忘れられない漫画家です。先ごろ亡くなられた松本零士氏の夫人であり、女流漫画家の大御所でもあります。

↓ヤフブ時代の記事です。

todorirannpu.hatenadiary.com

 

ブロ友さんに記事にしますと言ったものの肝心の作品をどこに仕舞っているのか思い出せず(そろそろ本格的に整理しないといけないわ)、押入れをかき分けてやっと探し出して、読み返してみると、ヒロイン、亜矢が琴を弾いている場面はこの表紙絵だけなのが意外でした。

 

鎌倉の化粧坂(けわいざか)に居を構え、琴を教えている盲目のヒロイン、亜矢が昔を思い出しているところから話は始まります。

 

亜矢が思い出すのは…

実は亜矢とその義父との秘め事を描いた艶っぽい作品です。

 

亜矢がまだ目が見えていた少女の頃、彼女にはこれまで何人かの養父がいた…

亜矢の母親は生活を支えてくれる相手に尽くす所謂、妾だった。

 

亜矢は今の養父を恐れ嫌っていた。化粧坂の崖の上で合歓の木に登り花を取ろうとして「危ないから」と手を差し伸べた養父から逃れるため枝から手を放し…

その風景が亜矢が見た最後の景色となった。

 

表組、薄雪  作曲、八橋検校



あれほど恐れ嫌っていた養父をいつしか男として受け入れるようになり二人の秘めた関係が始まる。やがて二人の関係を知った母のショック死、政界の大物の身でありながら妾宅から離れない男と盲目の娘の二人暮らしに寄せる世間の好奇の眼。

 

ある寒い朝、布団の中で養父も亡くなった。亜矢の暮らしが立つようにと養父が残した遺言テープ。そのテープの録音を誤って消してしまう亜矢。しかし遺言の内容など彼女にはどうでも良かった。亜矢が欲しいのは心…

琴の弟子たちが雑誌の星占いのページを見ていて「おとめ座の先生の恋は未熟…」と言いかけて慌てて…でも亜矢は笑みを浮かべる。

おとめ座の繊細な優しさは帰らぬ夢と知りつつ初恋も過去の想いも大切に心に秘めて一生を送る…」

 

ちなみにカバー挿画は他の方が描かれています。(昭和52年発行の文庫本サイズ)



12星座にまつわるそれぞれの女性たちを描いた短編集です。この中の「口紅水仙」と言う作品が1975年モントリオールで開催された国際コミックサロン・コンテストで1位に輝いています。

 

 

良かったら、ついでにお読みください。

todorirannpu.hatenadiary.com