外連味とショッキングシーン満載のおもしろさ
うちは東映チャンネルは契約していないので普段は見られないのだけど、たまに無料放送があって、その時に面白い作品が見られるのです。
原作は篠原とおるの劇画。昭和40年代のカオスにして猥雑な匂いの漂う娯楽映画の快作(怪作か)だ。
ヒロイン、松島ナミ(梶芽衣子)は心底愛していた男に裏切られる。
男に頼まれて麻薬組織に潜入。バレて男たちにレイプされる。
その裏切り男、夏八木勲 麻薬捜査の刑事。自分を愛する女をおとりにして手柄を立てるや、女を見捨てた非情な男
この時からナミは男への復讐だけを誓う。ナイフで男を襲うも未遂に終わり逮捕され女子刑務所に送られる。
この刑務所がエグい。(「銀蝶渡り鳥」の刑務所とは大違い)
とんでもない女がゴロゴロ… 右から国景子、横山リエ、三原葉子、根岸明美(後ろ姿)、三戸部スエ、の姐様方。
こんなシーンがあるんだよね。ある意味、グロテスク。
オレンジの囚人服は女囚たちの見張り役でもある。
ナミの唯一の味方。一緒に脱走して捕らえられて…薄幸の女囚…
(渡辺やよい。蔵馬と結婚していたけど死別しました)
脱獄に失敗したナミのおかげで女囚たちは延々と穴掘りをさせられる。
刑務所内で晩飯を賭けた博打が始まる。
三原葉子たちのイカサマを見破った細身だが凄みのある孤高の女囚、ナミの味方ではないが静かに見守っている。(演じているのは扇ひろ子。「新宿ブルース」のヒット曲のある歌手です)
ナミに逆恨みして殺そうとするが逆襲されて、どえらい形相になった三原葉子様。。。(私、この女優さん好きなんだけどね)
三原葉子は誤って刑務所長の目を…逆上した所長が三原葉子の首を…
所長たちはナミを殺そうとして横山リエを刺客に選ぶ。出所を餌に。
女囚たちの不満が爆発して暴動が起こり、ナミを殺そうとした横山リエは扇動を見抜かれ、
女囚たちに吊るされる横山リエを見てナミはつぶやく「騙されるのが女の罪なんだよ」と。
この映画でナミがつぶやく数少ないセリフのひとつ。
扇ひろ子に促されて、女囚たちの反乱に乗じて脱獄したナミ。
自分をレイプした麻薬組織の男たちを次々に血祭りにあげ
そして
今はただ憎いだけの男にとどめを刺すナミ…
再び刑務所に収監されるナミ かくして映画はシリーズ化してゆく…
この映画、冒頭に日の丸が掲げられ「君が代」が流れる。刑務所長の表彰式のシーンから始まっているから。ラストでナミに刺された夏八木勲が絶命するシーンにも宙に飛んだナイフの先に日の丸が…
警察(権力)に抵抗するヒロインの姿勢の象徴か。
脱獄したナミがいつどこで服を着替えて、どうやって男たちの情報を集めたか等の説明は見事に省略、この、映画のご都合主義が潔い。トリュフォーの「黒衣の花嫁」を思い出す。私は切り返しの早いこんな娯楽映画が好きなんだと改めて思った次第。
実は30年ほど前に「さそり」シリーズ4本を地上波で観ているのです。前3本は伊藤俊也監督作品で、最終作は長谷部安春監督作品。
私は伊藤俊也作品のからくりのような作品の方が好きですが、主演の梶芽衣子自身は最終作が一番気に入っているようです。うーん。
タランティーノも好きな「怨み節」「さそり」の主題歌です。
イラストは上村一夫 (私、プロフィール画をこんな風に描いてみたかったけど、私の絵には怨が足りません)
ついでに扇ひろ子の「新宿ブルース」も。
よく見るとかなりの美人ですね。北川景子に似てる。。。
篠原とおるの 原作も(全てではないけれど)読んでいます。
篠原とおるの作品の主人公は女性が多いのです。「0課の女」「ワニ分署」「ゼブラ」等々。私が初めて読んだ篠原作品も「ズベ公探偵ラン」と言う漫画で、女性が主人公でした。(掲載誌だった「ボーイズライフ」は「ビッグコミック」の創刊と交代で廃刊された)
ランは陽気な少女でしたが、「さそり」等はクールになってます。そちらで有名になったので篠原作品はクールなイメージがあるのですが、ホットな漫画もあるのです。
↓ラストシーンが意外な温かさを持つ作品です。こう来るかって感じ。
「COM」1968年2月号より(この頃、漢字にはすべてルビが振ってますね)
ヤフブ時代に書いた、この記事に関係無さそで有りそで、な記事です。興味ある方はどうぞ。。。↓