高校生の頃、「闇の中の魑魅魍魎」(やみのなかのちみもうりょう)と言う、絵金を主人公にした映画があったのを思い出した。
友人に誘われて、ハルカス美術館で開催中の「土佐の絵金」展を見てきました。
予想以上に面白かった。興奮できました。
何が面白いって、手の表情。芝居絵の格場面での登場人物の大仰な掌に緊張感が出ていて、私、何度も絵を眺めながら自分の掌を絵のように真似してみました。筋を違えそうな誇張した腕の反りに何故か魅入られてしまいました。
絵金は幕末に土佐で活躍した絵師で、芝居絵屏風で有名です。
最後の展示室に展示されていた絵は撮影可だったので何枚かをパチリ。
「由良湊千軒長者」
安寿と厨子王の話です。
「仮名手本忠臣蔵 天河屋」
これは忠臣蔵に登場する「天野屋利兵衛」の話 妻子と別れても大星由良助(大石内蔵助)への武器提供を外部に漏らさぬ利兵衛の男気を試しているところ。
妻の髪を切っている男は由良助の指示。「髪が伸びる頃に改めて夫婦の縁を結ぶように」と言う由良助の計らいだとか。由良助、やるなあ。
「仮名手本忠臣蔵」討ち入りの段
真ん中の(四十七士の襲撃を聞き)慌てて着物を着ている醜男が高師直(吉良上野)
「芦屋道満大内鑑 葛の葉子別れ」
絵金の絵ってもっとオドロオドロしたものだと思っていたけど、実物を見ると、それほどでもなく、どこかユーモラスに感じました。(私だけかな)
そして、武家社会ではまず主君あり。自分の家族を犠牲にしてまで主君や主君の子供を守る姿に人々が喝采を送る風潮は今では理解できません。
さて「土佐の絵金」と聞いて、私、ある映画を思い出しました。高校生の頃に公開されてた「闇の中の魑魅魍魎」と言う映画。私、主役は唐十郎だと記憶してて友人に自慢げにしゃべってたんですが、途中で「唐十郎ちゃうわ。麿赤児やったわ」と思い出しました。当時は私の中では二人とも怖いおっさんでした。今は普通の爺さんだと認識しています。時代が二人の怪優を受け入れていったからでしょうね。
そしてこの映画に歌手の扇ひろ子が出ていたのも記憶に残っていたのです。
梶芽衣子の「さそり」で孤高の女囚を演じていた人です。クールビューティな人でした。
扇ひろ子です。
どんな映画だったんだろう? 観てみたいなあ。