ベル・エポックのパリで舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」の初演までのゴタゴタ
(今回、映画の画像はすべてネットからお借りしました)
昨年観た美しいアニメ「デリリとパリの時間旅行」と同じく、堺市のミュシャ館で上映されたベル・エポック時代のパリの風俗を描いたコメディ映画です。
ミュシャの絵のモデル(と言うより依頼主)でもある大女優サラ・ベルナールが登場し、ミュシャの絵もチラリと登場する(分からなかった…)映画をミュシャ館は上映してくれます。私の楽しみの一つです。他にどんな映画があるかしら。
知っている俳優は一人も出てきません。前半はピクサーの実写映画を観ているようファミリー向き映画のようですが、まあ子供には見せられないシーンも出てくるので油断禁物です。でも相対的にディズニー調。。。
上映前に貰ったチラシです。説明が面倒なのでこれを読んで下さい。
「シラノ・ド・ベルジュラック」 有名な物語。教養もあり剣の腕も立ち人望も厚いが、人並外れた大きく醜い鼻を持つ男の一途な片想いの物語ー
1897年12月28日の初演以来500日の連続上演が続いたその「シラノ・ド・ベルジュラック」を書きあげた若き劇作家、エドモン・ロスタンが主人公
原題も「Edmond」 妻子有りの劇作家で詩人。ただし売れない… しかしその才能を買っている者もいる。例えば大女優サラ・ベルナール
エドモンはサラ・ベルナールから名優、コンスタン・コクランを紹介される。
この男から3週間で芝居を書きあげろと依頼されるが何の構想も浮かばない。
行きつけのカフェのオーナー、オノレは黒人。 オノレは客から「黒いの」と侮辱されても堂々とやり返せる肝の座った教養人だ。
主人公にはこんな男気のある人物を、で第一幕は完成、その後は…
親友のレオは二枚目の俳優。部隊の衣装係、ジャンヌに恋してるが思いを上手く告げられない。レオに頼まれてジャンヌに恋文を代筆する。ジャンヌはエドモンの詩の崇拝者だが手紙はレオが書いていると信じてる。エドモンは手紙の文章を思いつく度に芝居の筋書きを構想してゆく。いまやエドモンにとってジャンヌはミューズなのだ。
エドモンの妻も夫の才能を信じ励ましているが、夫が他の女性にせっせと手紙を書いているのを知って浮気を疑い、劇場主はコクランに借金を返さねば出演禁止にしてやると迫りetc 幾多の困難に遭いながら初演の幕は開き… 醜い鼻を持つ男が一途に思い続けた女への気持ちを友人の恋文の代筆と言う形で告白し続けて、最後は真相を知った女の腕の中で死んでいく5幕の悲恋物語が上演され、結果は40回に及ぶカーテンコール…
初演の舞台でセリに落ちて結局、初日の舞台には出ていないのに何だか分からぬままカーテンコールに応じる主演女優のマリア…この女優、わがままだけどこんな事を言っている。「この芝居は100年後も上演されてるわ。私たちは忘れられる…」
主演女優に代わりロクサーヌを演じたジャンヌ、彼女はカーテンコールの時、独り、舞台のそでに隠れていた…
マリアとジャンヌ、この二人のロクサーヌ女優、この後どうなるんだろう等と考えてしまったのだが、そんな事は現実ではないのだ。「シラノ・ド・ベルジュラック」初演の舞台に立ち会った演者、観客、関係者たちの幸せな永遠のひと時…
レオの手紙が実はエドモンの書だと知り、ジャンヌはエドモンに恋心を覚えるが、エドモンはついに彼女を抱くことはなかった。私は主人公のそんな態度が気に入っています。そうよ、妻子ある男は理性を保ち続けねば。(しかしウキによると後にエドモン・ロスタンは舞台女優との関係で妻と離婚したそうな。何なんだよ!)
ちなみにエドモンをコクランに紹介した大女優、サラ・ベルナールは舞台での怪我が元で片足が壊疽に罹り片足を切断、その後も舞台に出演し続け、亡くなった時は国葬になったそうです。
そのサラ・ベルナールに見いだされた画家がアルフォンス・ミュシャなのです。
上映ホールに飾られていたミュシャのポスター