強烈な人権啓発アニメだった。
コロナと熱中症が怖くて遠出できない私。
今日、1年半ぶりにスクリーンに映し出された映画を観てきました。
堺市のアルフォンス・ミュシャ館で特別上映された「ディリリとパリの時間旅行」
20世紀初頭のパリが舞台。華やかなパリの街に生きる著名芸術家や音楽家、発明家が顔をそろえた絵柄もエレガントなアニメ…そんな予感で観たのだが、冒頭でややショックを受けた。
主人公はディリリと言う10歳くらい(?)のカナックの女の子。カナックとはニューカレドニアの先住民の事である。村の風景。野外で上半身裸の恰好で親に言われて芋の皮を剝いている。
だが、カメラが引くと、その彼女や村の光景をエッフェル塔の下でパリの人々が見物している。ディリリは博覧会の展示物そのものなのだ。
パリ市民は褐色の肌の女の子を人間として見ていない。そんな中で一人の青年がディリリに話しかける。流暢なフランス語で答えるディリリ。島でパリから来た伯爵夫人(だったかな。パンフレットも何もない上映会だったので覚えきれない)にフランス語や礼儀作法を習ったと言う。その伯爵夫人が帰国すると言うので後を追って船で密航してきたのだと話すディリリ。
青年の名はオレル。自転車で頼まれたものを運ぶ仕事をしている。オレルはディリリを顧客の一人、歌手のエマ・カルヴェに会わせたりパリを案内したり、いろんな有名人に合わせる。
ドガ、ロートレック、ルノアール、ロダン、その女弟子(にして愛人だった)カミーユ、マティス、ピカソ、キュリー夫人、ドビュッシー、サラ・ベルナール、「グノシエンヌ」を弾くエリック・サティ…
パリは華やかだが、裏通りに回るとドレス姿のディリリに物乞いする男。ディリリが断ると「色黒女!」と罵声を浴びせる。
その頃、パリでは少女の誘拐事件が相次いでいた。その事件を解決すべくディリリとオレルが活躍するのだが、これはアニメだから見ていられる場面がある…実写映画だったら、私は怒髪天を突いていただろう。そのショッキングな場面。女性の社会進出を快く思わないクソ野郎集団が秘密結社のように存在しているのだ。誘拐され腹ばいで歩くことを強制される女性たち。彼女たちを「四つ足」と蔑むクソ野郎たち。
ディリリはエマ・カルヴェの運転手から「メス猿」と呼ばれる。ディリリは「私も同じことを思っていたわ。あなたは豚のように見えるわ」と平然とやり返すディリリ。
ディリリは賢く勇気のある少女だ。クソ野郎集団に誘拐され四つ足を強制されても抵抗する。(そそのかされた運転手に連れ去らわれるのだが、後で運転手は後悔してオレル、エマ・カルヴェと一緒に助けに行く)
ツエッペリンの飛行船を借りて少女たちの救出に成功するオレルたち。初めて泣くディリリをオレルたちは優しく抱きしめてやるのだった。
こんなストーリーとは思わなかった。時間旅行と言うより冒険旅行の方が相応しいと思うのだが。
カナックの少女が自分とは何者なのかと悩み(ディリリはそれを言葉にして疑問を投げかけるが)それを克服していく話。人間の尊厳を踏みにじる資格は誰にもないと言う話。最後のナレーションでクソ野郎たちが逮捕されたと説明されるのだが、私はこいつらをボッコボコにしてやりたいわ。
誘拐され監禁され、解放された少女たちが喜んで踊っているシーンです。
アルフォンス・ミュシャ館は1年に1回は訪れていて、これまでにアンケートに答えたりしているから今回の上映会も案内ハガキで知り応募、実に久しぶりの映画鑑賞。
しかし吹き替え版だったとは。でもなんという偶然でしょう、今日が誕生日の斎藤工がオレルの声を吹き替えていて、なかなか良かったです。斎藤工さんが今日が誕生日と言うのは、ぴくちゃあさんのブログ記事で知ってばかりでした。斎藤工さん、お誕生日、おめでとうございます。( ̄▽ ̄)
壁の2作品はレプリカなので撮影OKでした。
この映画にアルフォンス・ミュシャは登場しませんが、彼のポスターが3枚登場します。そのうちの2枚です。
このポスターが登場する場面はすぐに分かりますが、
こちらは難しい。半分だけチラっと出てますとミュシャ館の人が言ってました。
分からなかった。。。