(2年前にヤフーブログに書いた記事です)
追悼 渡哲也 として再掲載します。(姑息な手だけど)
渡哲也主演の日活アクションです。が、
監督は、ご覧の様に、かの鈴木清順
並みの監督ではございません。
清順美学と呼ばれた色彩マジック的なアクションを。
この映画、冒頭は白黒です。
哲也がいた組のボス、倉田がヤクザから足を洗ったために
他の組から喧嘩を売られる羽目に。
それでも堅気になるために我慢をする哲也
恋人の松原智恵子と一緒になろうとしていた。
智恵子はクラブ歌手
倉田の組を乗っ取ろうとする奴ら
画策する郷瑛治
郷と愛人
この愛人は漫画好きみたいで、
いつも漫画読んでます。少年サンデー
倉田に金を貸している男が殺され
衝突が起こり
撃ち合いとなるが、郷の愛人が撃たれた。
哲也は倉田に迷惑はかけられないと
一人、旅に出るが、殺し屋の川地民夫が後を追う。
流れていった先の新潟でも
いざこざに巻き込まれるけど、
この新潟での争いは仁侠っぽく描かれていて。
負傷した哲也を突如現れた二谷英明が手当てする。
新潟を去ろうとする哲也の乗った列車と
すれ違う列車に智恵子が。
列車を降りて哲也を追う智恵子だが…
2台のSLがすれ違う…
流れ着いた佐世保でも争いに。
でも、なぜか皆、楽しそう。
大騒動なのに何でこんなに愉快なの?
何だか知らんが…
その頃、東京ではボスの倉田が哲也を裏切ろうとしていた。
最後は白だけのキャバレーでの銃撃戦
「哲さん待って!」
「流れ者に女は要らねえ」
「でも」
「女と一緒にゃ歩けねえ」
こんな美人を置き去りにするのか。薄情者…
ラストシーンは見事な白と黒
これは1970年に三一書房から出た本
ちなみに装丁は林静一
座談会形式のインタビューから。
佐藤は映画評論家の佐藤重臣、
私の説明が下手くそなので、ストーリーが分かりにくいですが、
堅気になろうとした男が結局、元に戻ってしまい
愛した女も捨てて一人去ってゆく…
そんな話で、上の本にも書かれていますが、日活は
主題歌同様、浪花節調を期待していたのに、ふたを開けたら
「何じゃこりゃ?」の自由奔放さ。
清順はこの後、「けんかえれじい」「殺しの烙印」の2本を
撮って、日活上層部から「訳の分からん映画、撮りやがって!」
と言われて解雇されてしまいます。
私はどちらも観たんですが、確かに訳わからん。
「殺しの烙印」なんか、やたら炊飯器が目に付くし。
私は映画で何が一番ダメな映画かと言うと、「つまらない映画」
だと思うのです。「つまらない」は魅力がないんです。
「くだらない」は「くだらない魅力」があるんです。
清順作品は、くだらなくないし(?)、もちろん
つまらない作品なんかじゃない。
度肝を抜く、いわゆる「外連味」(けれんみ)のある
面白い映画なのです。
こんな映画があっても良い。
こんな監督がいても良い。
追記
ヤフブにアップした時、いろいろなコメントを頂きました。
「殺しの烙印」の炊飯器の事や、郷瑛治の愛人役の女優さん(浜かおる)の事などいろいろ教えて頂きました。
鈴木清順の作品として記事を書いたので、あまり渡哲也の追悼にはなってませんが、面白い映画なので機会があればご覧ください。