ドラマ「正塚の婆さん」
たまたまCSで見た古いドラマ「正塚の婆さん」のワンシーンです。
昭和38年(!)のドラマだそうで。上の写真の左から二人目の男性なんですが、ひょっとして石坂浩二!?
ノンクレジットでこのシーンにのみ写っているので分かりづらいのですが、私は見逃さなかった! 石坂浩二がブレークしたのは昭和40年のNHK大河「太閤記」の石田三成役なので、その2年前なら無名の若手俳優だったかも知れない。
さて、ドラマの方
三益愛子が主役のおくに婆さんを演じてます。これは心を入れ替えて優しい婆さんになったと言われたころの笑顔。それまでは意地悪ばあさんでした。
この意地悪な婆さん、三途の川で亡者から金をふんだくる正塚婆(奪衣婆)に似ていると寺の坊主に言われます。
この婆さんが検察審査会のメンバーに選ばれたことから、ある事件を立件するかどうかで皆で話し合いの場が開かれ、民主主義に目覚める話…
おくに婆さん、優しい婆さんになった訳ではなく、市長にイタズラしたりしてその実像をあばき、呆れ果てて「日本の民主主義はどうなってしまうんだよ!」と叫ぶシーンで終わります。
最初、検察審査会のメンバーが無作為に選ばれて集まるシーンは映画「十二人の怒れる男」を彷彿させます。そしてあれこれ審議して、しかしメンバーの団結心むなしく原告が告訴を取り下げてしまいます。
十二人の陪審員が意見を述べ合い、11対1だった被告の有罪を無罪にくつがえす胸のすく映画「十二人の怒れる男」のようには行かない現実を訴えているドラマです。が、
もう56年の前のドラマを令和の今、見ると陳腐な気がしないでもありません。昭和38年、私は小学生だったので、当時の日本の世相なんか知らないけれど、戦後18年で日本の隅々に民主主義が浸透していたとは思えないし、現在は民主主義よりも人権を重視している風潮があるので。もっとも民主主義も人権も中途半端な気がします。大阪の読売テレビの情報番組がそれを露呈してしまいましたね。
脚本は橋本忍、演出は大山勝美、演出助手に久世光彦、実相寺昭雄ら錚々たるスタッフ陣のドラマでした。