らんぷの仕業

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赤んぼ少女

 ホラー映画の赤ん坊は人形より怖いはず…

「赤んぼ少女」原作は楳図かずおのホラー漫画なのです。

かなり古い作品で、私も読んでるはずなんだけど、あまり覚えていない。少女フレンドも廃刊になって久しいし。創刊間もない小フに登場して、瞬く間に全国の少女を震え上がらせた楳図かずおの初期の作品には、異形の生物(人間)が人間を襲う話、へび女とか半漁人(少年マガジンに掲載)が多かったけれど、徐々に一番恐ろしいのは人間の業へとテーマが変遷していき、そちらの方が読んでいておもしろいのでした。

我が家はケーブルTVでCSを視聴してるのですが、その中にMONDO-TVと言うチャンネルがあるんですが、ほとんど観たことが無くスルーしていました。たまたま番組表を眺めていると「赤んぼ少女」と言うタイトルが。「赤んぼ少女って、楳図かずおの?映画になってたんだ」と興味を持って観てみました。原作漫画のラストはどんなだったかなと思いながら。

 

ご覧の様にキャストがなかなか良いのです。野口五郎浅野温子

私、野口五郎の芝居を初めて観ました。意外、上手いです。適役だと思いました。

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舞台は昭和35年 戦争の空襲で行方が分からなくなった赤ん坊を探す南条夫婦 父親(野口五郎)が15年後に孤児院でようやく我が子を見つけ出します。ヒロインの葉子です。可憐な美少女に成長していました。南条夫婦は地元の資産家だけど近隣の人々はこの屋敷を気味悪がっているのです。

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葉子を南条家に送り届けた施設の職員、吉村は帰路、行方不明になる。堀部圭亮、私、この俳優をずっと他の人と勘違いしていました。

ヒロミのいたお笑いグループの人と。似てない?

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葉子の登場を快く思わない執事、生田悦子 去年亡くなりました。

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幸せになれると信じる葉子 (サービスショットかも知れないけど、要らない。むしろ痛い…)

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葉子が来てから怪しげな事が続き、それはだんだんエスカレートしてくる。帰らぬ兄を探して南条の弟、高也が屋敷に忍び込んできます。

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ブレイク前の斎藤工、イケメン! でも映画の中で凄惨な目に遭います。

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ヒロイン、葉子役の水沢奈子 本当に清純可憐な美少女で、次々に災難に襲われる可哀想な役って、こんな美少女ほど似合うものなのね。

でもこの女優さん、知らないなあ。2008年の映画なんですが。

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実はこの家にはもう一人、住人がいたのです。葉子の双子の姉、タマミです。タマミは赤ん坊の姿のまま大きくならずに成長していました。

父親の野口五郎はそんな娘を疎ましく思っていて、もう一人の娘を必死で探していたのです。一方、母親の浅野温子はタマミを大事に大事に過保護に育てていました。執事は浅野温子をお嬢様と呼び、母親の様に慈しんでいましたが、タマミには邪険でした。そして突然現れた葉子にも冷たく接するのです。

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そして、タマミ…(タマミの登場シーンって暗いのです。テレビ画面を撮ると要らないものまで写ってしまいます)

キャストに亜紗美と言う名前が出てたんですが、タマミ役?

これは造り物だと思いますが。

タマミは自分の妹が美しく成長していることに嫉妬し(そんなタマミの心理は一切描かれていませんが)暴れだすのです。次々に血祭りにあげていきます。堀部、野口、生田、そして斎藤の片腕を切断し、執拗に葉子を襲います。ホラー映画のヒロインは何故か最後に超人的に反撃に出ますが、葉子も…タマミは浅野に抱かれて燃え盛る屋敷の中へ消えていくのでした。

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登場人物、美男美女ばかりです。それが残酷な殺され方をして死んでいきます。

うーん、何だこれは!?ただのスプラッターになってしまってる。

私、原作のラストを覚えてないんですが、タマミには自分の意志があったはず。映画の中ではただ暴れるだけ。グレムリンやチャッキーみたい。

今年の夏、スターチャンネルの無料放送で「ホラー映画で殺されない方法」と言う楽しいコントをやってまして、ホラー映画で殺されキャラ的な男女が、逃げ延びる方法を謎の声に伝授してもらう、そんな内容だったんですが、赤ん坊は人形(例えばチャッキー)より強いので、犬や赤ん坊を人形にけしかけろと言う事、タマミはチャッキーより強いんだわ。タマミ最強やん。だから自分から滅びるしかないのかな、なんて思ったのでした。

配役は絶妙だし、舞台も良いし、雰囲気もまずまずだけど、原作のエスプリを見事に壊してくれた映画でした。惜しいなあ。

舞台になった洋館が気になります。

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↑COM 1967 12月号より