らんぷの仕業

s’il vous plait  よろしくお願いします。

三人の金田一 その①池部良「吸血蛾」

 美男美女クイズの解答編を兼ねて映画紹介を。クイズに登場した美男美女は皆、「金田一耕助」映画に出演していました。

 

todorirannpu.hatenablog.com

 

古い作品です。この俳優をご存知の方はそれなりに古い。

はい、昭和残侠伝シリーズで殴り込みをかけに行く健さんに「お供させていただきます」と言って静かに同行する男、池部良です。

映画「吸血蛾」で金田一を演じました。普通にイメージする金田一とは雰囲気が違いますが、他の二人の金田一も同様です。

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久慈あさみ

戦後何年間はヒロインを演じる女優でした。私が一番印象深いのはやはり社長シリーズの森繁社長の奥方。恐妻だけど、なかなかの良妻賢母です。

「吸血蛾」では人気デザイナー役です。

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黒澤明の「素晴らしき日曜日」でヒロインを演じた中北千枝子です。

♪ニッセイのおばちゃん今日もまた~の生保のCMに出演していたので庶民派のイメージがありますが、実は東宝のプロデューサーで社長でもあった田中友幸の夫人。セレブなマダムです。

私、このフォックスメガネ(通称ざーますメガネ)の似合う女性に憧れています。久慈あさみのライバルのデザイナー役です。

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若い頃を知らないんですが、年齢を重ねてからバラエティ番組で突如人気者になった塩沢とき(旧芸名は塩沢登代路)

昔は美人だった! モデル役です。殺されて全裸死体になります。

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三橋達也夫人の安西郷子 モデル役です。清純派ヒロインの系統かな、ちょっと違う気もするけど、この映画ではそんな立ち位置です。

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この映画の冒頭に登場したのが、ミスユニバース世界大会で3位に入った伊藤絹子 当然ですがモデル役。映画の冒頭のファッションショーのシーンにだけ出演しています。

当時、この人の登場で八頭身と言う言葉が流行りました。美人の条件ね。

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ちなみに私はご覧の通りサザエさんと同じ4頭身半。。。

福井県立美術館 「エイケン制作アニメーションの世界展」の撮影ポイントで)

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え、しょうもない画像を載せないでサッサと前へ進め?

はい、すみません。


ストーリーは分かるようで分かりにくい。ツッコミどころ満載。

ファッション・コンクールで優勝した人気デザイナーのところに不気味な噛み跡のある林檎が送られてくる。その後に続く連続殺人…手始めに、呼び出されたデザイナーの代わりに出向いたモデルが殺され、その全裸死体がデザイナーの元に送り届けられる。モデルの乳房には一匹の蛾が…(殺されるモデルの塩沢とき、頑張ってます)

その後も二人のモデルが殺され、警察は不気味な昆虫博士(東野英二郎)を犯人と疑って捜査するが、連続殺人の犠牲者は増える一方。

上映時間は90分ほど。で、主人公、名探偵金田一耕助が登場するのが映画が半分終わったあたりの45分頃、「犬神家」や「手毬唄」みたいに有名なのは分かるが、「吸血蛾」って他の映像作品を知らないから、ここまで観ててもこれが金田一物だとは誰も思わない。このまま話が流れていくのかと思っているところに突如名探偵登場でびっくり。この金田一、あまり活躍しない。えっと言うような場面に表れては講釈を垂れるだけである。

吸血蛾と言うタイトルだが蛾は何もしない。血を吸ったりなんかしていない。吸血なんて濡れ衣である。濡れ衣を着せられて怒った蛾が大軍をなして真犯人を襲う、と言うのならまだ映画的見どころもあるのだが、当時そんな特撮は無理だろう。モスラもまだ誕生していないし。

蛾の代りに狼男がデザイナーの打ち明け話に登場しますが、話がややこしいので以下割愛。(’ツッコミどころ満載だし)なぜか登場人物が次々に死にます。猟奇連続殺人の犠牲になってゆくのです。

死ななかったのは金田一と、(ある意味探偵役の)千秋実と安西郷子のコンビと、久慈あさみのマネージャー役の有島一郎だけ。こんな書き方すれば真犯人もおのずと推理できますが。

 

以下、写真を。

新聞記者とモデルですが、この二人、恋人同士と言う設定らしい。嘘やろ!見えんわ!

池部良の出番が少なすぎるので、金田一登場までの探偵役としてこの二人を、池部良のカッコよさを引き立たせるために千秋実を配したのではないかと勝手に想像しました。

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面識のない人物から呼び出しが。久慈あさみの代りに出向く事にした塩沢とき久慈あさみのマネージャーの有島一郎 

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その後にデザイナーの元に送り届けられた塩沢ときの…

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真犯人からの犯行予告(?)を受けて某劇場へ出向く二人。

安西郷子「本当に何か起こるのかしら?」と訝ってるシーンですが、私には「何でこんなところに私を連れてくるのよ!」と憤慨してるようにしか見えません。

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だって、周りを観ても観客は野郎ばかり。ステージでもセミヌードのダンサーの踊りやら↓のようなダンス。。。女性客が入るような劇場じゃない。(このダンスはおもしろいけどね。しかもこの中の一人の脚が…)

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これはファッションショーを見ている初代黄門様、じゃなく東野英治郎久慈あさみのヨーロッパ留学時代の同棲相手と昆虫学者の二役です(実は双子)

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金田一の盟友、等々力刑事。

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私がジャカスカ写真を撮ったのは、登場する女性のファッションが華やかだったから。

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カラーで見たかった。

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このコートも可愛い。何色なんだろ。(ますます千秋実が彼氏には見えん)

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はいっ、狼男登場。この映画、日本初の吸血鬼映画なんだとか。(本物の吸血鬼じゃないんだけど…)

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そうです、この映画の監督は日本の怪談映画の巨匠、中川信夫なのです。

このタイトルシーンに当時の日本の文化が隠し持つ淫靡さや妖しさが漂っている気がします。(監督の傑作「地獄」のタイトルシーンはこの妖しさを極めた超傑作です。淫靡なムードが半端ない)

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とりとめのない記事になってしまいましたが、

金田一耕助なんか出てた? 

これがこの映画の感想です。