らんぷの仕業

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「憎いあンちくしょう」日本初のロードムービー

裕次郎とルリ子が東京~阿蘇

 

7月17日にずっと観たかったこの映画をチャンネルNECOでやっていたので観た。裕次郎って確かこの季節に亡くなったはずだと検索したら、なんとこの日が命日だった。1987年7月17日。

 

裕次郎とルリ子がそれぞれジープとジャガーで東京から九州の阿蘇を目指してひた走るストーリーで、日本初のロードムービーと言われている作品なんだとか。

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「私もまんざらじゃないわ」と自室の鏡の前でポーズするルリ子

そりゃまんざらどころか、こんな美人、そうそういませんわ。

昭和36年当時の女性の下着って布の量が多い…

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裕次郎の愛車のジャガー、当時、スターは左ハンドルのスポーツカーに乗ってました。赤木圭一郎も「霧笛が俺を呼んでいる」で白い外車に吉永小百合を乗せて走ってます。

ルーフ開閉できると思うんだけど…雨の中、濡れまくってる二人。

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裕次郎の部屋でくつろぐ二人。ルリ子がめっちゃキュート!

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で、ここまでは恋人同士の二人がイチャイチャしてますが、ここから話が始まります。役名ありますが、裕次郎、ルリ子の方が分かりやすいので、それで話を進めましょう。ネタバレあり。

裕次郎は俳優であり司会者でありの人気スター。ルリ子はその恋人であり彼のマネージャーでもある。 

二人は付き合いだして731日、つまり2年。二人にはルールがあった。新鮮でいようと体の関係どころかキスも交わさない。そんな関係を親しいテレビ局員の長門裕之はケチだと評する。二人は倦怠期にも入りつつありモヤモヤしたものを抱くようになる。

そんな時、自分の番組「今日の三行広告」(新聞の三行広告から面白そうなものを選んで広告主の話を聞く)に呼ばれた若い女性、芦川いずみの話に裕次郎は触発される。「九州の無医村で働く医者の彼氏の元へ、ためたお金で買ったジープを届けてくれる人を求む」と言うもの。必死で働いてためた全財産で買ったため、九州へ運ぶ金がなく無料で運んでくれる人を探していると言うのだ。

何の戸惑いもなく純粋愛を語る芦川いずみに裕次郎は思わず宣言する。「僕が運びましょう。あなたたちの純粋愛をこの目で確かめるために。今すぐ出発します」すべての仕事をほっぽり出してジープに飛び乗る裕次郎

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驚いたルリ子は裕次郎ジープを預かった芦川いずみの家に出向き「2年間も離れてて彼が今、何をしてるかも知らないくせに」と詰るが芦川は平然として答える。「あなたのは愛じゃない」

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芦川に言い負かされた悔しさとスケジュールに穴が開く焦りからルリ子は裕次郎の愛車のジャガーで後を追う。長門裕之たちをヒューマニズムの追求だとかなんとか言い含めて同行させて…

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東京~阿蘇1500キロをジープとジャガーが追いつ追われつ

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カウンターの緑色の飲み物、何か分かりますか。ルリ子が店主に「これ作ってくれる」と小さな袋を差し出します。店主が袋の粉をグラスに入れて水を注ぎます。ソーダラップと言う飲み物。当時、こんな飲み物(粉末ジュース)が流通していました。♪渡辺のジュースの元です、もう一杯~と言うCMソングもありました。

この映画のスポンサーみたいで、映画の最初の方でも裕次郎が飲んでいます。

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出光もこの映画のスポンサーなのか行く先々でこのロゴマークのGSが登場します。

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箱根~名古屋~京都~大阪~ ひた走る裕次郎

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わっ、大阪駅前だ。 阪急百貨店、右の壁は阪神百貨店

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こっそりドキュメンタリーとして放送。局長賞もらったから撤収するとルリ子を置いてゆく取材陣

徐々に心理的に追いつめられてゆくルリ子

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先回りして裕次郎を捕まえようとするルリ子(何せジャガーですから)

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ルリ子をまくために宇高連絡船を利用。

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しばしの休息

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途中、森の中の泥濘で動かなくなったジャガーを助けようとするが、間一髪でルリ子を救い出すもジャガーは崖下へ落ちてゆく…

ようやくジープで阿蘇にたどり着く二人。しかし、そこにはマスコミの力で阿蘇に来ていた芦川いずみが…

ルリ子は叫ぶ。「こんなの愛じゃない!」

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阿蘇の彼氏。ハイ、刑事コロンボです。小池朝雄です。

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ついに、阿蘇大自然の中で抱擁する二人…

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北原三枝裕次郎と結婚して引退し、浅丘ルリ子小林旭との(共演)コンビ解消。その裕次郎とルリ子のコンビの2作目。

裕次郎は何を演じても裕次郎だけど(それで良いのよ)、浅丘ルリ子は若くて美貌が輝いていてとても魅力的です。

テンポも良くスルスルと観ていける作品です。当時はまだ高速道路もなく舗装されていない路などの一般道路や周りの風景を、ジャガーとオンボロに近いジープが疾走してゆくのを、スクリーンで観るのは心が逸ったのではないでしょうか。私は60年前の梅田を見られて興奮しました。

ただ最後が分からない。ルリ子は何故、「これは愛じゃない!」と叫んだのか。自分たちが苦労してここまで行動を起こしたのに、芦川と小池は最後はマスコミを利用したから?ここ、少し分かりにくい…

私はルリ子がここで叫ぶ激しさを見せなければラストの抱擁シーンに繋がらないからだと判断したけど。

 

 

 


サウンドトラック「憎いあンちくしょう」 石原裕次郎