らんぷの仕業

ブログのタイトル変えました。

スピリッツ・オブ・ジ・エア

アレックス・プロヤスの映像寓話

この映画、私は30年ほど前に一度テレビの深夜放送で観ているのです。何気なく見始めて…見終わって、「もう一度観たい!」その強い思いを抱き続けてきました。

「これは私の映画、誰にも教えたくない」そんな想いも。

その映画がこの時世に再公開されるなんて。「コロナなんか吹っ飛んじまえ」で、堺から京都まで2時間かけて出かけました。

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砂漠の一軒家に住む脚の悪い兄と偏執狂の妹。そこへ何者かに追われている一人の男がたどり着く。兄は男と共に砂漠から脱出するための飛行機作りに没頭するが、妹はこの地から離れようとはしない…

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兄と妹と謎の男、登場人物はこの三人だけ。兄と男は気が合ったようだけど、妹は男を悪魔だと思い込んでいる。ハリウッド映画だとすぐに男と妹をくっつけたがるけど、このオーストラリアのインディーズ作品ではそうなならず。(口汚く男を罵る妹の口を男が自分の口で塞ぐシーンがあるんだけどね)床に転がって痙攣を起こす妹の拒絶反応…こういう描き方をする映画を観た事がない。

やがて飛行機は完成して男は「三人でここから出よう」と誘うが、兄は妹とここに残る決心をする。飛び立つ飛行機を見送る兄の心…

シュールでスタイリッシュな映像に錯覚を起こしそうになるけど、いたって心優しい物語なのだ。

30年前にこの映画を観た時、「日本人がこんな映画を作るとしたら、きっとアニメになるなあ」と思ったのだけれど、今回、改めて観ると、兄の気持ちが痛いほどに伝わってきて、ただ切ない。

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これはアレックス・プロヤス監督のデビュー作だけど、ひょっとしたら監督はこのデビュー作を超える作品は作れていないのではないか。(他には「キングオブエジプト」しか観た事ないけど)

しかし、砂漠を舞台にした映画にハズレは無い、これ、私の確信です。