どこが問題か?
「求婚専科」って、いかにもラブコメなタイトルだけど、このポスターで分かるように、原題は「Sex and the Single girl」どこかで聞いたようなタイトルですね。そう米ドラマ「Sex ando the City」のタイトルの元ネタになった映画なのです。1964年のこの映画の原作は元は「Sex for Single Girll」と言うタイトルの独身女性のためのSEXの指南書でベストセラーになったそうです。
当時の世相が「独身女性のためのSEXとは何事か!」と猛攻撃したそうでタイトルをこんな訳の分からない(SEXとどこかの女性)物に変更してしまったのだとか。
またSEXと言う言葉自体を口にすることも憚られた時代で、そのためにXの部分を主演の二人でカモフラージュさせています。
以上は映画解説の町山智浩氏の解説の受け売りです。
それにしても出演者の顔ぶれの豪華な事…
カモフラージュはこんな所にも。タイトルシーンがアニメになっているのです。ちょっと「奥様は魔女」を思い出させますが、こう言うのが当時流行っていたそうな。また、出演者の豪華さやファッションやセットのセンスの良さで見せる映画になっていますが、現在では問題になるようなシーンが満載の映画でもあります。
ゲスな記事が売り物の雑誌「STOP」の編集会議
もっとゲスな記事を書けと社長は皆を鼓舞する。
敏腕記者のボブ・ウェストン(トニー・カーチス)、彼は秘書を膝に乗せたりしてるくせに
秘書が口をはさむとこんな事を言う。秘書はボスのものか…(当時は)
セクハラが蔓延の時代背景がある…
彼の餌食になった女性心理学者でカウンセラーのヘレン(ナタリー・ウッド)彼女は「Sex and…」を書いて評判となったが、ボブの記事で「この指南書を書いた本人は処女だ」と暴露され…
怒り狂う彼女にボブは攻撃の手を緩めない。次は自分の隣家の夫婦の名をかたって夫婦間の悩みを打ち明ける形で近づき、彼女を落とそうと画策する。なんちゅう男や、ゲスが!(私の声)
隣家のブロデリック家の夫、フランク(なんとヘンリー・フォンダ)
靴下メーカーの成功者
その妻、シルビア(なんとローレン・バコール)
シルビアは夫の浮気を疑っていた。フランクはボブに相談、ボブはフランクの名をかたってシルビアの嫉妬心をヘレンに相談する。
ヘレンはフランク(つまりボブ)に妻にも仕事を、と提案。ボブはそれをフランクに告げて。最初は嫌がっていたシルビアも仕事復帰に燃えて。
めでたし…?
この女性はヘレンの所属する「結婚カウンセラー国際協会」の受付
ヘレンの著書を読んで…詰めていたブラウスのボタンを2つほど外して…
だんだん変身してゆく…
こんな風に…
ボブはヘレンを誘惑するために「これから死ぬ」などと電話をかけて…どこまで卑劣なんや、ゲスが!(私の声)
この男はヘレンの同僚でヘレンを狙ってるルディ(メル・ファーラー。オードリー・ヘップバーンの最初の夫だった人です)
川に飛び込んだボブを助けて自宅に連れてきたヘレン。自分の服を着せてます。ヘレン曰く「ジャック・レモンに似てる」どこが!(私の声)
「お熱いのがお好き」でトニー・カーチスと共演して女装しあってたジャック・レモンを指してるようです。
良いムードになる二人。しかしヘレンは彼を既婚者だと信じ込んでるから…
うん?ナタリー・ウッド、ノーブラでは?(3枚上の写真のドレスとは別物ですね。こちらはナイトウエアのようです)
この女性、グレッチェンはボブと同居しているダンサー。しかし妻でも恋人でもなさそう。セフレなのか?ボブっちゅう男はどこまでゲスや!(私の声)
何やかやの誤解があって後半の20分ほど、まさかの展開になってゆく…これがまあ凄いカーチェイスで。今見ても面白い♪
車に乗ってる人間がシーンの転換でどんどんチェンジしてゆく♪どうなってるの?
この女性はグレッチェン
道路わきではお爺さんが、
プレッツェルと言うお菓子(パン)を売ってますが、彼らの車が行きすぎる度に数が減ってゆき、でもお爺さんの手にはドンドン硬貨が増えて行きます♪
コメディにはよく主人公たちから迷惑を被られる気の毒(?)な善意の第三者が登場しますが、この老夫婦がそう。
安全運転なのに白バイ警官に速度違反で呼び止められて、その間にタクシーの運転手が白バイを失敬して(彼は、あまりに走りがのろいとシルビアにほうりだされたのです)
この警官や運転手も迷惑をこうむられた人たちですね。考えたら全部、ボブの自己中のせいだ。なんであんな迷惑な奴が主人公なんだ、ラブコメって!(私の声)
いつのまにか3組のカップルが出来て…
このカーチェイス、なかなかの見もので、今度、fpdさんあたりがカーチェイス映画の投票でもやってくれたら、私、この映画を推します。
3組とも飛行機に乗って飛んで行っちゃいます。
つまり、結婚していない女性でもSEXして良いと言う原作者の著書のテーマとは真逆な終わり方をしてしまっているのです。時代がそうさせるのでしょうね。そんな時代の映画に憤慨しても仕方がないので、私はセンスの良いファッションなどに目を向けることにしました。そんな映画なのです。
ちなみに原作者のヘレン・ガーリー・ブラウンはコピーライター出身で、後に「コスモポリタン」誌の編集者になって活躍したそうです。
トニー・カーチスとナタリー・ウッドと言えば「グレート・レース」でも共演してますね。
「グレートレース」のレビューはこちら↓興味のある方はどうぞ。
https://todorirannpu.hatenadiary.com/entry/31747326