6年前にヤフーブログに書いたレビューを載録しました。
ブロ友さんがお二人、この映画を取り上げていらっしゃったので私も負けじと(おいっ)過去ブログを引っ張り出して編集しなおしました。
読み返すと馬鹿みたいに隅から隅まで映画紹介してます。今はこんな気力ないわ。
敗戦間近の硫黄島。潜伏する隊に米軍の攻撃が壊滅したと思われる島へ米軍が上陸。倒れている兵士を見て「まだ子供じゃないか」(英語です)すると、一人の少年兵が、喘ぎながら叫ぶ。「ノー、アイム ソルジャー!」
ここで映画のタイトルが入る。「海軍特別年少兵」
横須賀の海軍兵学校に入団して、工藤教官の班に振り分けられて、自己紹介する少年たち。
主人公格の江波少年。 父は小学校の校長で、同じ班の林少年とは幼なじみ。
父親が林に
兵学校に入る事を進めるのを見て、自分も入学する
父親は後に、自分の教えに疑問を持ち、辞職する。
会津出身の栗本少年。父親も、その親も戦死。名誉な事と言う寺の住職の言葉に送られて入学してきた。
父親が戦死した時、人前では決して泣かない母が、台所の隅で一人泣いていたのを目撃している。
仕立て屋の父親を嫌っている宮本少年。
父親は「国は貧乏人から何もかも奪って、何もしてくれない」と言っただけで
憲兵に連行されて拷問を受けて、足が不自由だ。「俺は貧乏が憎い。親父を見返してやる!」
両親の死後、伯父の家で育った橋本少年。
たった一人の姉は、伯父一家に仕送りするために娼婦になった。
少年兵の悲劇を象徴するかのような不運を背負った林少年。 貧農の
小作人の家に生まれた彼は親のため少年兵に志願するが、不器用
でのろまな性格で、何やっても出遅れ、
班長のしごきに会う。が、
やがて、もっと大きな不幸が彼を襲う…
この印象的な少年を演じた中村まなぶ
現 中村梅雀その人
本当は鬼なんかじゃなかった…林が家に送った手紙の内容から林家の苦境を
知り、こっそり自分の給料から仕送りするのである。後に上層部に
怪しまれるので、この行動は少し軽率だが。
仏の教官の吉永(右)と、二人の指導の違いを冷静に見つめる山中
映画は、この三人の教官を悪人としては描いていないので、ホッとする。
私の友人のKさんはこの役に違和感があったとか。ウキで検索したら
荒木道子は
文学座に入る前は、東大の図書館に勤務していたとか。
「
荒木道子ってインテリなんやね。貧しい農婦に見えなかったのは、そのせいかな」とKさん。私は違和感なかったよ(笑)
「みんな戦地に送られるけど、学校にいる間は大丈夫なんだね」と口走ってしまう母心…
「自分が死んだら、おふくろはやっぱり、台所の隅で一人で泣くだろうなあ」と栗本はつぶやいた。
宮本少年の父親役の三国廉太郎。
「親父は本当は優しい親父なんだ。俺の為に一生懸命に働いてくれてる」
宮本も本当は父親に感謝している。
面会の日に、弟に会いに来た橋本少年の姉。
小川真由美。
この役、
小川真由美は甚だしくミスキャストだ(と私は思う)
この姉は、もう少し若くて無知で自分(の境遇を)を恥じている震えているような小娘、と私は想像するので、強く生きてる大人の女の匂いのする
小川真由美では姉が最後に持つ強さを、最初から持ってしまっているようだ。
野外演習
その夜。民家に宿泊する少年たち。「おら、こんなフカフカの布団に寝るの初めてだ」ひょっとしたら、林少年の人生で一番楽しい夜だったかも。
翌日、懐剣を落としてしまった林少年。工藤と二人で探すが見つからず「おまえは宿舎に帰れ。俺が必ずみつけてやるから」と言う工藤。工藤が懐剣を見つけて宿舎に帰ると林少年はまだ戻ってきてはいなかった。彼は農家の納屋で首を吊っていた…
息子の死を知らされる父と母。
やがて戦地への配属が決まる少年兵たち。
「彼らは純粋です。死ぬことに誇りを持っています。彼らをこんな風にしてしまったのは自分の責任です」林を自殺させてしまった責務からも戦地を志願する工藤。
(ここで硫黄島での戦闘シーンなどがありますが、画面が暗いためにテレビに向けてカメラを構える私が写り込んでそりゃ恐ろしいシーンになってますんで、カット。ついでに数々のしごきのシーンもカット)
この中に林少年は入れてもらえたのだろうか?
この映画に登場する三人の母親像。生きて帰ってきてほしい、と
叫びたいのを必死でこらえている母親の姿。こんな母親を増やしてはいけない
と言うより、私たちが戦争に巻き込まれるのを阻止しなきゃいけない。
今井正監督の映画はおもしろい。暗くても力強く終わるから。
「真昼の暗黒」「
青い山脈」「キクとイサム」
「婉と言う女」 etc
1972年作品